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「····雪の女神と言うのは皆、白くて綺麗なものなのか?」
冷たい気候でしか生まれない雪神は北以外の三カ国には居ない為、胆礬にとっては珍しい神人だった。
「口説いているつもりですか?」
こんな戦中に随分と余裕だ事とせせら笑うかのように聞いてくる天華に胆礬は「ははっ」と、小さく笑った。
「いいや、アンタよりも良い雪の女神様を知っているから全然ときめかないね」
芯が強くてただ一人だけを一途に想い続けている綺麗な麗人。
彼女に勝てる雪の女神はきっと何処を探しても何処にも居ないだろう。
胆礬が誰の事を言っているのか大体検討はついていた。
「そうですね。あの方は確かに美しい」
美しく、そして愚かな方だ。
「誰を慕うのか彼女は選択を間違えた」
だから、罰を受けた。
「···何を言ってんだ?」
彼女の選択は何一つ間違っていないと胆礬は天華にそう言い放つ。
「水神様と白雪様は会うべきして出会ったんだよ!」
普通なら愛姫だとしても仇の娘と分かれば殺されていてもおかしくなかった。
それをしなかったのは二人は結ばれる運命だったという訳だ。
「間の抜けた事を言わないでください」
水神が彼女を殺さなかったのは気まぐれか利用価値を見出したからに決まっている。
手懐けて洗脳して北を害する戦闘員として作り上げたんだと天華は主張する。
おまけに己の子供まで作って紅葉に復讐させる為だったはずだ。
「んなわけねぇだろうが!!」
くだらない妄想をするなと胆礬が己の刀を天華に振りかざした。
振りかざした植物で作られた刀は太刀へと変わり刀で受け止め防御した天華をそのまま吹っ飛ばした。
水神が白雪をただの道具として利用したわけが無いだろう。
殺気のこもった声で胆礬が怒号の声で叫んだ。
あまりにも大きすぎるその声は翠やララ、紅葉の声にも届いていた。
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