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「南海軍隊長イードルが乗った船の結界の一部を破壊」 「最新兵器を取り入れてんのは南だけじゃないんだよ」  北の軍艦にて望遠鏡で南の船を覗く男が鼻で笑う。  太陽の光線を利用した誘導放出。  海外からの輸入品で縁の宴の際に外交ついでに既に購入していた。 「そのまま南の船に穴を開けろ」 「御意」  船が沈めば水と風使いは神力を使って人命救助に向かうだろう。  そこを狙って海の藻屑にしてやればいい。  そう男は軍艦に乗る兵に命令を下す。  北陣営海軍総隊長【瀑流(りう)】。  日に焼けた肌に夕焼けのような髪色と獅子の鬣のような髪型が特徴のこの男。  ララとイードルとは少しばかり因縁を持っている。 「あの海賊風情が···今度こそ息の根を止めてやる」         * 「あちらさんも最新の何か持ってるみたいですね」  一体何処から手に入れたのやら。 「せいぜい西洋諸国辺りからの輸入品でしょ?」 「あぁ、あそこ倭の国土よりも最先端行ってるからなぁ····」  だからと言って対策がないわけではない。 「!」  岩使いのティティスの子分達が硝子を作り出し自分達の姿を映し出す鏡を形成した。 「持って二・三回ってところかしら?」  レーザー(誘導放出)の熱に耐えて反射できるか。  反射したレーザーを相手の軍艦に返せるならそれで充分と言ったところだ。 「船を壊される前にさっさと相手さんの船を沈めようぜ」  そのつもりだ。  既に鏡は配置して次にくるレーザー射撃に備えている。  そう話していれば、相手も早く終わらせたいのだろう。  いくつもの白と赤色の光が向かってきた。 「全部は塞げきれないわよ」  分かっている。 「改造した【ヴェデリア】と【石蕗】を潜水させている」  水面下に潜水船の二隻が相手の船を襲えば直ぐにこの茶番は終わる事だ。 「あぁ、前に見せてもらった潜水船?」  どんな改造を施したのだとティティスが聞いてくる。 「尖端に一角を施してみた」 「·····それだけ?」 「それだけとはなんだよ!?」  それだけである。
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