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 空を舞う空の戦闘兵達は上手いこと台風の目となる場所へと移動し、互いの軍を率いて戦い続けていた。  東は先の戦によりかなりの量の空軍兵を失った。  しかし、今回は焔達が散らばっていた西の家臣達を呼び寄せた。  だから、北に対抗して戦っているのは西の生き残りと東の共闘。  西の飛べる妖達が北の空軍へと挑んでいく。 「妖如きで我らが殺られるわけがない!!」  所詮人数合わせの烏合の衆と言いたいのだろう。  叢雲は「敵ではない」と、言い切った。  しかし、北の勢力を削ろうとしているのは倭の国土だけではない。  悪神率いる侵略軍達もいるのだ。 「相手にするのが俺らだけなら楽だったろう」  相手の軍の目的は北に囚われた白雪。  つまりは愛姫の略奪。 「白雪様は北の愛姫でも闇神の娘でもねぇ」  南の蕃神の娘にして東の水神の愛姫だ。 「ほざけ!貴様らの妄想なんざ聞く価値もない!」  北の闇神の娘にして北の国宝の愛姫。  どちらの主張が正しいのかなんてお互い譲らない。 「貴様らには分からないだろう····」  お互いの武器がぶつかり合う中で叢雲は天雷を睨みつける。  あの方がどれだけ探し続けていたのかなんて。  どれだけ大事にしたかったか娘をまともに抱き締める事も出来ず引き離された父親の気持ちなんて  やっと見つけだしたと思えば 「水神なんぞに囲われていただなんて····」  しかも、子供まで作っていたなんて、どれだけ屈辱を味わらせれば気が済むんだ。
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