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「今から行くと……この9時22分発の電車が良さそう。N空港に10時47分に着くよ。でも飛行機は夜の便しかなさそう。夜の21時半とかに出発して、明日の朝9時半から10時半に着くみたい」
「よし。機内で寝よう」
ゲーム何しようか問題は即解決したらしい。
「ねえ、こういうのって普通、現地に到着してからのことを考えるものじゃない? 何でリアルに旅行計画立ててるの?」
「バカだな、藤川。旅行っていうのは行く前が一番楽しいんだよ」
そういうものなのか。私はまだその旅行の楽しさが理解できないな。
「とりあえず、時間を夜に飛ばして、電車に乗ろう。忘れ物はないか?」
「多分、大丈夫」
「本当に大丈夫か? 藤川は意外と詰めが甘いところがあるからな」
「正直、何を持っていったらいいか分かんないし」
「俺は日本の味が恋しくなると思うから、カップラーメン持ってきたよ。しょうゆとシーフード」
「いいね。向こうでも売ってそうだけど」
詰めが甘いのはどっちだ。
って、こういうくだらない話を電車の中でするっていうのはあるあるで楽しいかもしれない。
「藤川は何持ってきた?」
「えーと……何だろう? ポテチかな」
「やっちまったな、藤川。ポテチは飛行機に乗せると気圧で信じられないくらい袋が膨らむんだぞ」
「えっ、そうなんだ。飛行機乗ったことないから分かんない」
「マジか。ファーストクラスは靴を脱ぐんだぞ」
「そうなの?」
「あと、離陸する時は足を浮かせるんだ。そうすると機体がちょっと軽くなって飛んでいきやすい」
椎名くん、さてはお前も飛行機乗ったことないだろ。
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