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なのに。何度コールしても、電話に出てこない。十回、二十回。
僕は電話を切った。そして、文字を送った。
「写真、これでよかった?」
「うん。ありがとう。なつかしいな。もう一度戻りたかったんだ」
「また戻ってこいよ。つばさ。どこにいるの?」
「ここだよ」
は?
僕は顔を上げた。
すると、髪がなびいて。
僕のとなりに、つばさが座っていたのだった。
「つばさ」
最後に見たつばさより少し髪が伸びていたけど、つばさだった。あのかわいいつばさだった。
「つばさ……」
おお、久しぶり。とか、ここにいたのか! とか言えばよかったのだけど、あまりに突然で、何の言葉も思いつかなかった。
口をぱくぱくさせていたら、つばさの方が言った。
「会えてよかった。バイバイ」
って。
え?
会ってすぐバイバイって何で?
と思っていたら、つばさの体がだんだんと空気ににじんでいった。
僕が泣いていたから、だけではない。
つばさはだんだんとけむりのようなものに変わって、そして、上にのぼっていった。
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