君の一生のお願い

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「一生のお願い」って、何だよ。  湿った丸太の階段を踏みしめて進む。  あと「一生のお願い」だなんて、一生のうちで何回できると思ってるんだ。まったく。 「一生のお願い」だなんて言われたら、断れないじゃないか。少なくとも僕は、君には。 「ね、一生のお願い」  つばさのこの言葉に、僕は弱い。  最初は小学校の時だったっけ。「一生のお願い」は、確か、「席替えの席を代わってほしい」だった気がする。窓際の席と廊下側の席。やった、窓際! いいの? ラッキー! と思ってもちろん承諾したが、一番前の席だったため、ほぼ一ヶ月担任の雑用係として働かされた。つばさは廊下側に座る友だちと、幸せそうにおしゃべりしてた。  まぁ、いっか。つばさの笑顔を見ると、僕は何だか報われた。それに、「一生のお願い」をする相手としてつばさがこの僕を選んでくれたんだ、何だか誇らしい気持ち。つばさにとって僕って「頼りになる男」なのかもしれないな。へへ。  と、その頃思春期を迎えていた僕は、同じく思春期を迎えてかわいくなり始めたつばさの笑顔を遠巻きに眺めては、にやにやしていたものだった。
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