第6話 恋に臆病な僕らのリスタート(5)★

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「……ナカがすごく痙攣してる。挿れただけでイッたのか?」  汗で貼りついた髪を払い除けてやって問う。夏樹はぼんやりとこちらを見つめ、どこか焦点の合わない瞳で「うん」と小さく答えた。 「いつもより、感触がリアルで――こんなので突かれたら頭バカになりそ……」  熱に浮かされたような声で囁かれ、隆之の心臓が大きく高鳴る。  ここまで露骨に煽られては、もはや自制など効くはずもない。隆之は夏樹の太腿に手をかけて、何も言わずに律動を開始させた。 「あっ、ン、あぁっ!」  激しく突き上げるたび、夏樹の口からはあられもない声が上がる。ベッドのスプリングが軋む音に、肌がぶつかる音や卑猥な水音。それらすべてが興奮材料となって、隆之の欲望をより一層駆り立てていく。 「……夏樹」  隆之は抽送を繰り返しつつ、耳元に唇を寄せて名を呼んだ。すると、夏樹の肩が小さく揺れ、とろんとした瞳を向けてくる。 「隆之さんっ……もっと、名前呼んで……っ」  回した腕に力を込め、夏樹が懇願する。  隆之は口元を緩めると、求められるままに何度もその名を口にした。 「夏樹、夏樹……好きだ」
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