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第6話 恋に臆病な僕らのリスタート(6)
◇
数か月後のとある昼下がり。夏樹の姿は、京極と生活をともにしたマンションの一室にあった。
「荷物、これで全部か?」
京極がダンボールを手に問いかけてくる。
中身は夏樹の私物だ。後日、新居に配送してもらう手筈になっており、今はちょうどその荷造りが終わったところだった。
「うん。意外と少なかったもんだねぇ」
夏樹はしみじみと呟き、殺風景になった室内を見回す。つい先日までここで暮らしていたかと思うと、感慨深いものがあって、少しだけ切なくなるようだった。
「ねえ、オーナー」
ぼそ、と声をかける。ダンボールをまとめていた京極はこちらを振り返り、返事の代わりに「ん?」とわずかに首を傾げた。
それを受け、夏樹は深々と頭を下げる。
「二年間、いろいろとお世話になりました」
京極と過ごした時間は決して長くはなかったが、仕事でもプライベートでも数々の恩があった。感謝の気持ちを込めて告げれば、頭上からふっと息を吐く音が聞こえてくる。
「これからどうするつもりだ? ちゃんと考えてあんのか?」
その問いかけに、夏樹は顔を上げて答えた。
「うん、貯金もあることだし専門学校に再入学するつもりだよ。でもって、今度こそ介護の仕事すんの」
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