エピローグ 君へ誓う未来

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エピローグ 君へ誓う未来

 季節はめぐり、また新しい年度が始まってしばらく。  仕事を終えた隆之が帰宅すると、夏樹が「おかえりなさい!」と玄関まで出迎えてくれた。  隆之は頬が緩むのを感じつつ、いつものように挨拶を交わしてリビングに入る。そして、襟元を緩めたところであるものが目に入った。 「それ、また見てたのか?」  ローテーブルに置かれた婚約指輪――夏樹に告白した際に渡したものだ。 「だって、俺の宝物なんだもん。初めて出会った日と、告白された日の思い出が詰まっててさ……指にはめられなくても、眺めてるだけで幸せな気分になるんだよね」  指輪が入っているケースを手に取り、夏樹が慈しむような眼差しを向ける。時折こうやって眺めていることは知っていたが、ここまではっきりと言葉にされるとなんだか面映い。 「……それもいいんだが」隆之は頭を掻きつつ切り出した。 「ん?」 「来週の土曜、よかったら予定あけておいてくれないか?」 「えっ、なになに? デートしてくれんの?」 「その……さっき自分でも言ってただろ? 夏樹と初めて出会った日、だからさ」  言うと、夏樹の顔がじわじわと赤く染まった。
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