番外編 付き合いたての二人

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 京極が呆れたように呟くも、やはり意に介さず。夏樹は嬉しそうにスマートフォンの画面を見つめており、まるで恋を知ったばかりの中高生かのようだ。 (すっかり色ボケ野郎になりやがって)  苦笑しながらも、微笑ましさを覚えてしまうのは親心ゆえか。  とはいえ、このまま相手をするのは御免だ。京極は新聞を畳み、ソファーから立ち上がろうとするのだが、 「あっ、ねえねえ! ビデオ通話でエッチすんのとか、隆之さんノッてくれると思う!?」 「……早いとこウチから出てけよ」  夏樹のあまりな発言にこめかみがひくつく。撤回しよう――色ボケも大概にしてほしいと思ったのだった。
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