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「んー? だって、隆之さんには俺のこと好きでいてもらわなきゃ困るし、そのための努力なら惜しまねーもん」
「気持ちはありがたいが、これはどうかと――」
「じゃーん、みてみてっ! SMグッズなんかもあんよ?」
隆之が困惑する一方、夏樹は目を輝かせながら、ピンク色のファーがついた手錠を取り出した。その後も次から次へと出てくるアダルトグッズの数々に、軽く目眩を覚えてしまう。
(今に始まったことじゃないが、どこまでも性に奔放なっ……)
と、そこで隆之はハッとした。もしやと思って問いかけてみる。
「なあ、夏樹。『Oasis』にいたとき、こういった道具も使ってたのか?」
「うん。オモチャのレンタルもあったし、ソフトSMもオプションでやってたよ?」
夏樹はしれっと返してきた。
今さら過去のことを蒸し返すつもりはないが、それでも嫉妬心だけは拭えない。隆之が少しだけ複雑な気分になっていると、追い打ちをかけるかのように夏樹が口を開いた。
「今、ちょっとヤキモチ焼いたっしょ?」
言って、いやらしい笑みを浮かべながら顔を覗き込んでくる。
隆之は図星を突かれて押し黙った。
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