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(結局のところ自業自得……悪いのは全部、俺か)
橋の上で一人佇む。夕陽に染まる川の水面はキラキラと輝いていて、より心をセンチメンタルにさせるようだった。
自分の不甲斐なさのせいで、彼女を失望させてしまった――長い付き合いから、この先もずっと一緒にいてくれるものだと胡坐をかいていたのだ。
もっと言葉を尽くせばよかった。もっと彼女の心に寄り添うべきだった。
もしあのときこうしていたら、と数々の《たられば》が押し寄せてくるけれど、後悔先に立たずというもの。スラックスのポケットに手を入れると、そこには彼女に渡せなかった婚約指輪が入っていた。
「惨めだな……」
純白のケースの中で光り輝くダイヤを見つめながら、小さく呟く。考えれば考えるほどに惨めで情けない。
つい投げやりになって、隆之はケースごと婚約指輪を川に投げ捨てた。さながらドラマのワンシーンのようで笑ってしまう。
と、そのときだった。
「あーっ! ちょっと何やってんのお!?」
突然、背後から声が聞こえて振り向く。
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