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プロローグ
それは、普通ではあり得ない筈の出来事だった。
繁栄と栄華の象徴とも言われ国民は幸せだと思われていた国の出来事だった。
その国はどんな国でも逆らえないほどの大きな力を持った国であった。
そんな国が如何してか一夜で滅ぼされてしまった。
誰の、いや何処の仕業かも分からないままその国は闇に葬り去られた。
存在していたかも分からない、到達できない『幻想郷』として……。
真実は誰も知らない、とある夜の出来事。
夜城の中、誰もいないはずの謁見の間に足音が響く。
城の入口から一定の間隔で鳴り続けていた足音は玉座の前で止まった。
きっと今第三者がこの場にいたのなら玉座に座る白い影を見ることが出来ただろう。
いや、その光景を運が良いのか悪いのか見てしまった者がもう居たようだ。
それは齢5歳になるこの国の第3皇子だった。
何故かこの部屋に来ていた少年は白い影が玉座に座っているところを見た。
少年には何が見えていたのか、もしかしたら何かが聞こえてしまったのかも知れない。
足音の主がこの国を呪い続けている光景が、その声が聞こえたのかも知れない。
そしてその姿を見てその子供は笑うのだ。
この国が破滅することを悟って。
この話が始まりか、それとももう終わってしまった後の出来事かは、
きっと、見ていた第3皇子にしか分からない。
「本当に、みんな無くなっちゃた」
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