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「話をまとめると、高校ん時母ちゃんと常磐さん」
「お父さんよ」
「……お父さんが出会って、結婚する流れまで来てたけど、身分の差があり過ぎるって言って俺たち双子を身篭ったまま追い出された」
「そうね」
「それで俺たちが産まれると母ちゃんとの繋がりを絶対に切らせたくなかったお、お父さん、が、俺たち以外の子は作らないって直談判しに行ってその流れで兄さんが後継者として常磐家に引き取られてる。お家のあれこれに巻き込まれるといけないから常磐家との関わりをほぼ絶って、俺を連れて生活してる、ってこと……?」
「やだもう!うちの子理解早くて助かっちゃう!」
夢みたいな話だって?こんな話夢であって欲しかったよ。
言葉にしたことで理解は出来たけど、イマイチ実感が湧かない。兄がいた事もそうだし、俺があの常磐家の血を継いでるとか……。
でも、母さんがこの話を俺にした理由がハッキリしないな。兄さんがテレビに出るからとか言ってはいたけど。上手くボヤかされてる気がする。
「それで、なんで今更こんな話したんだよ」
「だ、だからテレビに出るから……」
「本当?それだけじゃないだろ」
押し黙ったところを見ると、隠し事があると見て間違いないな。あともう一押しか。
「母さんに隠し事は似合わないよ」
「ぁ、そ、その……ね」
「これ以上もう驚かないから」
「……うち母子家庭で、少しはお父さんから支援があったとはいえ苦しかったの、アナタ見てたじゃない?たまに寂しそうにしてるし、このままだとアナタの将来の選択肢を狭めると思って」
驚いた。
正直、一生懸命に働く母は好きだ。苦しそうにではなく、本当に楽しく働いているから。母子家庭なのだから取り残される俺が多少寂しい思いをするのは仕方の無いことで。それに関して俺は特に気にしたことはなかった。
だから、まさか母さんがそんなことを考えていたなんて思ってもみなかった。
「だから、アンタには兄さんのいる学園に入学してもらおうかなって!」
「……なんて?」
前言撤回。何言ってんだこの人。
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