いざ、霜栄学園

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いざ、霜栄学園

 特に進学希望のなかった俺はあれよこれよという間に一般科の試験を受けさせられ、頭の良かった俺はなんと合格してしまった。  あれ?これめっちゃ簡単ジャーン!と言った感じで調子乗って問題を解いていたら難なく合格。さすがに今回は自分の頭の良さを呪ったわ。  これから俺が入学するのは、私立霜栄(しものさかえ)男子大学付属学校。略して霜栄学園(しもさかがくえん)の高等部。  生徒の過半数が金持ちという、俗に言うお坊ちゃま学校。しかし、外部からの受験者がいない訳ではなく、毎年大体ひとクラス分の三十人程度入学してくる。  そういう生徒たちは一般科という括りで差別化されてはいるが、この学園に入学するには相当な努力をしなくては入れないので、将来有望な生徒たちに向けて学費的免除は学園側が直々行うという。  さすが金持ちだ。  そしてなんとこの学園、全寮制である。なんてこったい。合否の後の書類が届いて初めて知ったんだけど、母さん知ってて黙ってたな?  まあ、母さんにはひとりの時間が必要だと思うし、そこまでは責めなかったけど。  ということで、教員の指示に従って連れてこられたのは大講堂。コンサートでも始まるのかもしれないってくらいデッカイ。しかも当然ながら入学なのに立って式やらないらしい。座ったまま。  俺の席は最前ブロックの一番右側にある。新入生なので当然最前である。  順調に式が進んでいく様を眠いのを我慢しながら見ていく。いくら金持ち学園とはいえ、この睡魔は撃退できなかったらしい。 「続きまして、理事長の祝辞です」 「どうも皆さん、退屈でしょうがもう少し我慢してください。理事長の常磐(ときわ)です」 「ヴッ!!」  っぶねぇ〜~!!  突然の不意打ちに咳き込みそうになるのを必死で踏ん張った。ここで目立つのは利口じゃねぇ。 「───では新入生諸君、改めて入学おめでとう。学園生活を存分に楽しんでくれると嬉しい」  ……えらいイケボな人だったな。  いや、常磐家と言っても直系じゃないだけで常磐の名を持つ人は沢山いる。必ずしもあのイケボな人がうちの父親とも限らない。  と思いたかった。  目が合った、多分、いや絶対目が合った。ちょー目が合ってなんならウィンクされた。多分あれうちの父親だわ……結構チャラいな。  正直その後の内容は上手く頭に入らなかった。眠さと理事長の謎の行動の考察で忙しかったからな!
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