いざ、霜栄学園

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 その日は入学式だけして終わった。クラス分けに関しては二日後自分の部屋に送られてくるらしい。  これは正直助かる。なんたって全寮制だ。寮の部屋だの荷物の整理だの慣れてるやつの方が多いだろうが、俺みたいな一般人は来るまでに体力を使い、この空気感に慣れるのに気力を使い果たす。このまま教室に案内なんかされてみろ、屍のようになること間違いないぞ。 「っと、3026号室ってここか」  まるでホテルみたいな廊下を通り、高級感溢れる「3026」のプレートがある部屋の前にたどり着く。  新入生が多い割には移動してる人が極端に少ない。これはあれだろうか、エスカレーター式故に中等部にいた連中はもう自室に居座っている感じだろうか。  と、なると鍵は閉まってない。一回鍵を開ける動作をして「あれ、開かない?」を知った上でするのは嫌だ、とても恥ずかしい。  どうしたものか……。悶々と悩んでいるとガチャという音を立てて扉がひらく。 「お、やっぱり来てたな。何で入らねぇの?」 「ぉふとわぅん!?び、ビックリしたー」 「おふとん……っ」  驚いて咄嗟に出た言葉がたまたま既存の言葉だったため、目の前で爆笑されてる。しかもなんかちょっと我慢してる感じがさらに腹立つ。仕方ないだろ!急に開いてビックリしたしちゃったんだから! 「わ、笑うな!ビックリしたって言ってるだろ!てか何で急に開けるんだよ……!」 「悪ぃ悪ぃ、扉の前に気配がしたんで気になって開けたんだ」  こいつとんでもない気配察知能力持ってやがる……悪戯はできないタイプか、残念。 「おい何か残念そうな顔すんな、いいから早く入れよ」 「はぁい、お邪魔しまーす……」
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