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「え、何ここ、ホテル?」
「寮だ。これでも狭い方だぞ」
いや、そんな何言ってんのこいつって目で見られても……同室のやつが金持ちなのは覚悟してたけど、一般人にそれを言っちゃあダメだぜ坊ちゃん。
「いやだってここ学校の寮だろ?なんで完璧な2LDKなんだよ!金使いすぎだろ!」
「どんなもんを想像してるかは分かんねぇけど、ここ霜栄学園ではこれが普通だ」
「え、てことは小中もこんな感じ…?」
「当たり前だろ」
いやだから一般人にそれは難易度高いって!やめて!その哀れんだ目やめて!
てか学校しか行かない状況でナニするんだよ…!
「とまぁ、まずは自己紹介だな。俺は雪園亮だ。高等部一年。お前は?」
「全然駄目だけど……まあいいか。俺は宮野優馬。一般入学だから、今は未知の世界に慣れるのに必死って感じ。よろしく雪園くん」
「!そうか通りで……よろしく。早速で悪い、玄関入って右側の部屋は俺が使わせて貰ってる。使うとしたら左の方使ってくれ」
まあ、寮生活と聞いて他人と暮らせるか少し不安ではあったから、プライベートスペースがあるって分かって安心はしたけど。さすがにここまでの完備はしてなくていいんじゃないか?多分ほとんど使わないだろキッチンとか……。食堂もあるみたいだし。
「ところでこの二段ベッドは?部屋に寝る場所はあるんだろ?」
「これは一般的な寮を真似しただけらしい。使っても使わなくてもいいとよ」
「そ、そう……」
「ちなみに、ここは初等部、中等部から上がって来た生徒のための部屋だ。一般科受けたんなら普通入るのはもうちょい質素な部屋だぞ」
「え?」
「そっちが寮代免除だしな」となんかさらっと言ってくれてたが、まっ、待って?もしかしてこれ、お父さんの計らいだったりすんの?え、こんなので目立つの嫌だけど!?
あの編入生何者?とか噂されない?大丈夫!?俺この学校生活で常磐ってカミングアウトしないつもりでいるんだけど!
「…………まあ、荷物運んできたらどうだ?明日も休みだし、ちょっと整理するのもいいと思う」
「あ、ああうん、そうする……」
さっきからちょっと微妙な顔されてばっかだ、情けない……
俺はふらふらとした足取りで自分の部屋になる場所に足を踏み入れた。
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