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混乱する耀平に反して
多々良は涼しい顔でページをめくっている。
視線は本に落としたまま
口だけこちらへ向いた。
「ゲーム、しないの? 」
「え……? 」
「いつも机に隠してやってるじゃない。
先生も居ないしチャンスよ」
「そりゃ、やりたいけどさ……」
「スマホ没収されたから出来ない。
そうでしょ? 」
耀平は思わず顔をしかめた。
彼らの通う立科[たてしな]高校の中では、
スマホ含む
電子機器の使用は禁止されている。
多々良は本をパタンと閉じ
こちらへ向き直った。
「ねえ、悔しくない?
ただの校則ごときで没収されて」
「ま、確かに」
「私もそう。
ねえ、協力してくれない? 」
「……何する気だよ? 」
「取り戻してやるの。夏が終わる前に」
その時、先生が入って来た事で
この会話は中断された。
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