Chapter.1

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混乱する耀平に反して 多々良は涼しい顔でページをめくっている。 視線は本に落としたまま 口だけこちらへ向いた。 「ゲーム、しないの? 」 「え……? 」 「いつも机に隠してやってるじゃない。 先生も居ないしチャンスよ」 「そりゃ、やりたいけどさ……」 「スマホ没収されたから出来ない。 そうでしょ? 」 耀平は思わず顔をしかめた。 彼らの通う立科[たてしな]高校の中では、 スマホ含む 電子機器の使用は禁止されている。 多々良は本をパタンと閉じ こちらへ向き直った。 「ねえ、悔しくない? ただの校則ごときで没収されて」 「ま、確かに」 「私もそう。 ねえ、協力してくれない? 」 「……何する気だよ? 」 「取り戻してやるの。夏が終わる前に」 その時、先生が入って来た事で この会話は中断された。
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