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とはいえ、つい先日まで未経験に近かったのに、そんなことが出来るだろうか。
眉間に皺を寄せながら瑠維のTシャツを脱がせてから、彼の膝から降りて、次はズボンに手をかける。ボタンをはずし、ジッパーを下ろしていくと、彼のモノが先ほどよりも更に硬くなっていた。
これから私が主導権を握らなければならない。瑠維のボクサーパンツを掴みながら、頭がどんどん混乱の渦に巻き込まれてその先に進めなくなってしまう。
「春香さん」
瑠維に名前を呼ばれて、はっと我に返る。
「私、どうしたらいいのかわからないの……」
泣きそうな声でそう言った春香を、瑠維は愛おしそうにぎゅっと抱き寄せた。
「僕は手を出さないので、春香さんが僕としたいこと、僕にしたいことをしてくれればいいんです。いつもとは逆ですね。いつもの僕はしたいことを我慢できないから」
瑠維くんとしたいこと、瑠維くんにしてあげたいことーー考えを巡らせていくと、一つの結論に辿り着く。
瑠維くんが喜ぶことをしてあげたいし、瑠維くんと愛を囁き合いながら体を繋げたい。彼が怖がることだけはしたくなかった。
「春香さん、手足を……」
瑠維がそう言いかけたところで、春香は着ていた服を一枚ずつ脱ぎ、床に落としていく。下着を全て外したところで、瑠維のボケサーパンツも脱がせてしまった。
「手足は痛いから縛らないよ。でも瑠維くんがどうしてもって言うなら……」
春香は自分のブラジャーで瑠維の手を、キャミソールで足を軽く縛った。少し力を入れるだけで外れてしまうだろう。
瑠維は少し不満そうな顔で春香を見たのに対し、春香は不敵に笑った。
「瑠維くんが暴れなければ大丈夫。でも大きな動きをしたらあっという間に取れちゃうから……」
「それでは意味が……んっ……!」
瑠維の上に跨り、貪るようなキスをする。舌がねっとりと絡み合うと、彼がもどかしそうに体を動かし始めた。
甘くて熱くて、今すぐにでも繋がってしまいたいけど、今日は春香が瑠維を快楽の世界に導かねばならない。
キスをしたまま瑠維の胸の頂に指を滑らせ、何度も指で刺激を与える。すると瑠維の顔が上気し、少しずつだが気持ちよさを感じ始めているような気がした。
このまま彼の辛い記憶は甦ってこないで……。私が記憶を上書きするからーー。
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