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「"後輩くん"? つまり男?」 「えっ、あっ、はい」 「男性だし後輩という素性がちゃんとしている子なら安心だけど……逆にその子は大丈夫なの?」  瞳としては更なる懸念がないのかを心配してくれているのだろう。  確かにそう言われれば、博之と再会したのも八年ぶりなのだ。全てを信じるには早すぎるような気もするが、でも今日話した限りは、あの頃と変わらないように感じる。  それに椿とのやりとりを見れば、二人の想いはしっかりと通じ合っているように見えた。だからこそ、博之の後輩である瑠維も信じられたのだろう。 「無口で無愛想な感じなんですけど、すごく芯がしっかりしてる子だったんですよねぇ。先輩に対しても間違えいれば、バシッと訂正するというか……。それに剣道部だったから、いざとなったらすごく頼りになる人なので」 「無口で無愛想ーーでもハシビロコウみたいなタイプかもしれないわよ」 「ハシビロコウ? あの鳥のですか?」 「そうそう。普段はじっとして全く動かないのに、エサがやってきた瞬間ズバッと行くんだから」 「……送り狼みたいなことですね」 「まぁほぼ同じでしょ」 「うーん、でも彼はきっと大丈夫です。なんとなくですけど、信用出来る気がするんです」  春香が自信を持って微笑んだので、瞳は安心したように頷いた。 「そう。なら安心ね。でも何かあったらすぐに私でも警察でもその子にでも言うのよ。何かあってからじゃ遅いんだから」 「店長……そう言っていただけると本当に心強いです! ありがとうございます。ちゃんと伝えるようにしますね」  その時に瑠維におおまかな場所しか伝えていなかったことを思い出す。  もう近くまで来ているだろうか。どこに行けばいいのかわからずに困っているかもしれないと思うと、春香は早く連絡しなければと焦り始めた。
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