0人が本棚に入れています
本棚に追加
ユヅは窓から外を覗く。ここより高い建物がないから、向こうの方まで、だからきっと、花火もよく見える。
もっと近くでみたい。けど、体の悪い私は外には出られない。
フユちゃんに相談してみようかな、と部屋を抜け出そうとすると、目の前でドアが空いた。
「兄様」
兄のルイが顔を覗かせた。
「どうかしたか?」
想定外の事で焦って何も浮かんでこない。
「何もないなら、いっしょに来てくれないか?」
薄暗くなった屋上に出る。
「大丈夫なの?」
本来は鍵がかけられているが、祭りだから誰もいない。
とそこで渡したのは小さな花火セットだった。
「小さいけどな」
だが、ユヅは楽しそうに花火を始めた。。
最初のコメントを投稿しよう!