めざせ!ペンギン夫婦

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「恋は、わかんねー!」 「はい、はい?」 「でも、いい後輩だと思ってるし。俺を選んでくれたなら、答えたいし、あと、今日はすごい楽しかった。また、デートしたい、とも思いました」  期待してた言葉ではないけど、意識させることには成功したらしい。ペンギンの件はよくわからないけど。 「だから、あー、恋愛的な好きではまだないけど、将来的にペンギン夫婦みたいに、なれたら嬉しいから、時々二人で出かけてみませんか」  私が「好きになってくれませんか」と問いかけた答えらしい。言い切ったと、胸を張ってメガネを空いてる手であげている。  あまりにも、先輩が可愛いからぎゅっと抱きつけば、きちんと手は背中に回って抱きしめ返される。 「こんな公の場でいちゃつくバカップルには、なりたくないんだけどな」  と呟いたのは聞こえてたからね、先輩。それでも、剥がされることはなく、抱きしめ返してくれてるのは、嬉しい。 「ドキドキもします?」 「する、よ、そりゃあ」 「じゃあ、今日はいいです! 先輩が恋愛でも好きだな、って思ったらちゅーしてください」 「はい?」  裏返った声に、くすくすと笑ってしまう。嬉しくて、どうしようもないくらい私は舞い上がってる。抱きしめていた腕を離して、先輩の右手を引っ張る。 「お土産にお揃いの、キーホルダー買いましょう! 忘れられないようにペンギンにしましょうね」 「いいよ」  買ったペンギンのお揃いのキーホルダーの写真を撮ろうとスマホを開いたら、カメラアプリじゃなくてカメラロールを開いていた。  最初に撮ったホッキョクグマとの記念写真に目が行く。一枚目の、なんとか先輩から目を逸らした写真。拡大してみれば、先輩も横目で私を見てる。  かぁあっと内蔵から熱が上がっていくのがわかった。  愛しくなって、後ろを歩く先輩を振り返る。私の後を付いてくる姿が、ペンギンと重なった。今度からメッセージの先輩の名前の後にペンギンマークを付けようと決めた。  これからの私たちの記念品は全部、ペンギンのものにしたい。だって、先輩がしどろもどろになりながら、「いつかペンギン夫婦みたいになれたらいいかな」なんて言ってくれたから。 <了>
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