40人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「そう。きっと美沙は瀬川先輩のお墓に行くはず。今までも月命日は必ず何があっても行ってました。何時に来るか分かんないけど、そこで美沙を捕まえられると思います。自首するよう促すにしても、まずはあの子を捕まえなきゃ」
すると麻美先輩は、
「せやな。行こ」
と言って、あたしの前でいきなり部屋着を脱ぎ始めた。肩には白い包帯が巻かれているけど、下着姿の先輩はとても美しい。このまま絵のモデルにしたら、裸婦画と同じかそれ以上の美を抽出できるだろう。身体のラインが作り物みたいで、女のあたしですら見惚れてしまう。
先輩は下着の上に白いシャツを着て、デニムのボトムスを合わせた。タイトなジャケット、明るめのレザーポシェット。このままデートと言われても十分におしゃれだけど、表情は対極に厳しいものだった。
「私、早馬先輩のお墓の場所知らんのよ。理香は案内できるんやね?」
「はい。何度も美沙と一緒に行ってますから」
「遠い?」
「いえ、ここからなら電車で三十分ぐらいかな」
麻美先輩は時計を見た。午前十時過ぎ。頭の中で色々計算したんだろう、すぐに答えを弾き出す。
「タクシーで行こ。今の時間は電車が少ない。墓地は駅前やないやろし、最初から車で行った方がええ」
最初のコメントを投稿しよう!