5人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
視線恐怖症の男と魔物との初体験①
物心ついたときから、俺は人の視線をオソレていた。
オソレルというより、拒絶反応がひどく、目を合わせると吐いてしまうほどで、見られていると意識するだけで、吐き気が催す。
おかげで、まともに人と向きあえなかったし、相手の視線を意識しまいと、そっぽを向いて、接近するのも避けまくって。
まあ、ろくな人生を歩めなかったのが、高校生になり「このままでは、いかん!」と一念発起。
「視線恐怖症を病院にいくなどして、すこしでも改善しよう!」とようやく前向きになれたとき。
車の事故に巻きこまれ享年十六才で他界。
「せっかく自分改革に乗りだしそうとしたのにいいい!」とあまりに未練がましかったから、神が哀れんだのか、あの世につれていかれず、転生することに。
RPG風のファンタジーの世界へ。
で、俺は前世と同い年の白魔導師になり、盲目にもなった。
ええ、ええ、そりゃあ、人が見えなければ、視線を気にしなくてもいいけど、にしたって極端すぎない!?
慈悲なのやら、イジワルなのやら、神さまの施しにクレームしかたったなれど。
じつは、瞼を閉じたままでも、視界が真っ暗なわけではなく。
暗がりには、ぼんやりと景色が浮かびあがった。
自然や物や動物や人が、色のついた霧状になって、おおまかな輪郭を保っているので、なんとなく個別のものの見極めがつくし、全体像もつかめる。
ので、一応、杖をついているとはいえ、日常生活を送るのも、戦闘に参加するのも、さほど困らなかったし。
むしろ、ありがたいこともあり、人の形をした霧は目がないに、視線がコワくなくなって。
そのおかげもあり、前世から含めて、初めて友人なるものができた。
俺が所属するパーティーの一人で、リーダー的存在の剣士だ。
王都で開かれた武道大会で優勝したほどの実力者にして、多くの人に慕われるピカイチの人柄。
冒険者のなかでも知名度も好感度もバツグンに高い。
人格者であるのを裏づけるように、俺の閉じたままの瞼には、黄金色に輝いて写ったもので。
前世で地を這いつくばって生きてきた日陰者のような俺にしたら、別次元のヒエラルキーの頂点に君臨する神神しい存在。
ただ、そこまで突きぬけると、寛容さも半端ないのか、同い年の男子として気がねなく、親しげに接してくれた。
視線恐怖症がなくなったとはいえ、人づきあいに不慣れで、挙動不審さが目立つだろう俺なんかと。
ずっと瞼を閉じているからか(見えなくはないと伝えているが)たびたび手をさしだし、引いてくれたり「危ない!」と庇ってくれたり、大切に扱ってくれるし。
年ごろの男子らしく、バカ騒ぎしたり、じゃれあって、ムジャキに笑いあってくれるし。
彼が仲立ちしてくれたおかげで、パーティーに馴染むことができ、旅の進行も順調で、このまま波風たつことなく冒険をつづけられると思ったのが。
そのエリアにはびこる魔物のボスを倒しに、ダンジョンに踏みこんだとき。
最終決戦となり、あともう一歩のところで、ボスがとんずら。
暗い迷路のような洞窟を逃げ回るのに、見失わないよう、みんなでガムシャラに追いかけていたら、まんまと落とし穴に真っ逆さま。
おそらく、ボスは戦闘でわざと不利になり、逃げるかに見せかけて罠におびき寄せたのだろう。
そうして、回復アイテムや回復魔法を使わせずに、パーティーを一気に全滅させて・・・。
「してやられた!」と転生して間もなく、またお陀仏になったのを悔しがったものを、ふと目が覚めて。
また転生したのかと思いきや、至近距離にさっきのボスの顔面。
トッサに上体をのけ反るも、がっしり腰を抱かれてびくともせず。
起きて早早、魔物のボスと向かいあわせに座る状況をハアクし、股間に固いものが当たるの気づいて「ひっ」とか細い悲鳴を。
この魔物は聞いたところ、真っ白な肌をして、牙や角や翼をはやしているが、人に近いサイズ、顔つきや体つきをしているとか。
俺の目にも、鬼のような輪郭をして、白い霧がゆらゆらと。
ただ、俺が小柄なのと、相手がボディービルダーのように筋肉質だから、体格差は大人と子供のようで、股間の膨らみも、比べて、ずっとご立派なもの。
俺のが豆粒なら、相手のはニンジンほど。
はじめは、ただただ驚いていたのが、頭の整理がついてきたら、股間に固く太いのをすりすりされるのに「は、あ・・・」と熱っぽい吐息をしてしまい。
しばし、俺が「ん、く、うん・・・」と悶えるのを眺めてから「ほお、思ったより、艶めかしいではないか」とやっと口を利いた。
「わしは、人間の美しく若若しい男を犯すのを趣味としていてな。
だから、こうして冒険者がきても、すぐに殺さずに、生け捕りにして骨までしゃぶるように味わいつくすのよ。
それにしても、久しぶりに、とびぬけた上玉が手にはいって、これはこれは貪り甲斐があるな。
まあ、もう、男にさんざん抱かれて、使用済みなのがザンネンだが・・・」
お尻をつかむ手の、人差し指を割れ目に差しこまれ「はう・・・!」と肩を跳ねる。
そりゃあ、ぞっとして身の危険を覚えながらも「美しく若若しい男?」「とびぬけた上玉?」「男にさんざん抱かれて?」と疑問が頭の中をぐるぐる。
転生してからは、盲目になって、自分の顔を見れていない。
手で触っても、とくに整ったツクリとは思えず、大体、異性に騒がれたりアプローチされなかったし、同性にも口説かれたり襲われなかったし。
いや、そういえば、剣士が「一応、目を労わって、太陽に当たらないよう、フードを深くかぶったほうがいいよ」とすすめてくれ、俺より神経質にフードをいちいち直してくれていたが・・・。
なんて、よそ見して考え事をしていたら、魔物が腰を突きあげ、固い先っぽが股間に食いこみ「ひゃあん!」とみっともない声を。
「ほれ、ほれ、その美貌でもって、みっともなく乱れて、女のようにひいひい鳴くがいい」とぐりぐりして、尻の割れ目にいれた指もぐりぐり。
「は、あん、ふああ・・・!か、かた、ああ、固い、はあ、あん、あ、く、こんな、俺、知らな、あ、あ、だめ、だめえ・・・あ、やあ、やあん!こんな、のお、はふ、あん、あん、あう、う、く、俺、おれえ・・・!」
前世から俺はほとんど自慰をしていなかった。
「息子」と表現されるように、それを独立した別人格と捉えてしまって。
本体の俺が、体の一部の俺を見ると、人の視線を意識するのと同じく、吐きそうに過剰反応して、萎えてしまうのだ。
なので、精通しているとはいえ、きちんと自分で触ったことなし。
転生してからは、自慰が可能になったわけだが、盲目になってからの生活や、冒険する日々に慣れるのに精いっぱいで、そこまで考えが至らず。
ましてやセックスなんて、一生できないかもと、アキラメかけていたのに・・・。
最初のコメントを投稿しよう!