はじまり

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はじまり

あ、あ、今日も一日が始まるのか? 俺は今迄何となく生きて来た食べて寝てある程度の事を吸収し暮らし…特に目標、目的など無く朝を迎え昼となり夜となるそんな毎日を送っていた。 幼児期は普通の子供で特に目立事もなく、はしゃぐなどする事無く子供としての存在が薄く、友達は深からず浅からずの関係で上手く付き合っていた。 そして中学、高校も幼児期と変わらず特に何かに目覚める事無く暮らしていた。しかし、身体は正直であり思春期となり僅かではあったが異性を意識し始めていた。 そして俺は親の薦めもあり大学に進学した。 将来の目標、目的がない俺であったが何故か勉強は嫌いでは無かった。しかし、大学で勉強をしてその知識を得て将来のために役立てるとか?金儲けして裕福になるとか?そんな前向きな考えは全く無くそれなりに人生を歩んでいけたらと… 今日は昼過ぎに学校に行って山田教授の授業そしてサークルである「探索」の会合で本日は終了だなぁ?それでも目標、目的を持たない俺だが一日の行動は気にしていた。 俺は「大和」大学2年… なんのために大学に行っているんだ?特に何がしたい…何になりたい?この頃何故か自問自答する様になり僅かではあったが自分の変化が気になっていた。そのきっかけはサークルで知り合った女性の存在で俺は今迄にない心臓の鼓動、胸のトキメキを感じていた。 俺がその女性と出会ったサークル「探索」はあるテーマを掲げそれをサークル員で「探索」し結論を導きだしサークル員で共有する事であった。 俺が何故このサークル「探索」に参加したのか?それは同じ学部で高校の先輩である人物から半ば強引に勧誘されたのであったが… そのおかげで俺はその女性と出会うことが出来たのだった。 その女性…彼女は小柄で目鼻立ちがハッキリしていて子リスの様で何とも言えず愛くるしかった。 彼女は「みなみ」俺と同じ2年生で好奇心旺盛であり刺激を求めてこのサークル「探索」に参加したのだと…? 俺は彼女へのトキメキは留まる事無く続いていたが話しかけることすら出来ないでいた。 そんな時今回のサークル「探索」のテーマは「非現実」であった。するとサークル部長から本当に「非現実」は存在するのか?現実との違いは?それがどの様な世界か?「非現実」とは例えば異世界?異次元?の様な事例を調査しサークル員で共有したい。 そしてサークル部長から今回の「探索」に於いてチームの発表があり俺は何と「みなみ」と3年生である先輩「飛鳥」とチームを組まされたのであった。 俺は「みなみ」と同じチームになり嬉しい反面俺の情けない本性を見抜かれる?のでは無いかと不安でもあるが「みなみ」の好奇心旺盛な性格に俺は益々彼女の事が好きになっていた。 そして「飛鳥」が何故このサークルに居るのか?不思議な存在で元ヤンキーの様な風貌であり俺は苦手なタイプであった。3人が揃いサークル「探索」のテーマである「非現実」についてこれから何をどの様に「探索」するか打合せを行う事になった。先輩である「飛鳥」はリーダータイプでは無くここは好奇心旺盛な「みなみ」がリーダーとなり進め、まず「非現実」について語り出した。私が考える「非現実」は異空間であり異世界、異次元だと考えます。まずそんな体験をした人の調査を行うことから始めてはどうでしょうか?俺はドキドキしながら「みなみ」の顔をチラ見し話しを聴いていた…すると「飛鳥」がまあ「みなみ」が言っている事、分かるけどさあ〜それって時間が掛かるよね〜俺はまず噂ではあるが「非現実」世界に入れる…入れたと言う現場を見つけて…行って見た方が早いと思うなぁ? 場所はネットで検索すれば幾つか出てくると?あと俺のバイク仲間から聴いた話しでは廃墟には「非現実」世界へ繋がる扉があると…その廃墟には霊などが棲みつき現実世界から「非現実」世界へとね…「飛鳥」先輩凄く面白そう…私乗ったわ!「みなみ」は目を輝かし頷き…俺もよく分からなかったが大きく頷いていた。 ネットでいくつかの都市伝説的な「非現実」情報はあったが「飛鳥」がバイク仲間から聴いた情報をもとに「非現実」世界を知るには廃墟に入り込むことが手っ取り早いとリーダーである「みなみ」が決断したのであった。 しかし、俺は廃墟に於ける知識は無く、テレビ番組で良く特集されていた内容から廃墟には霊が棲みつき怪奇現象を起こす…そして訪れた人に危害を加える…俺は廃墟の霊などが俺達に危害を加え無ければ問題無いと思っていたが? そして「みなみ」の決意と「飛鳥」の情報から廃墟探索が実行される事になった。 俺達が探索する廃墟は西伊豆にあるFホテルの跡地でその周辺は海岸でありバイク仲間は良くツーリングに訪れることからこの廃墟を知ったのであった。そして、どうしてこの廃墟が「非現実」世界へ繋がっているとの?噂を知ったのは又聴きではあるがある時ツーリング仲間の友人2人がその廃墟となったFホテルに入った結果…1人は戻りもう1人は帰ってこなかったと…?そして戻った1人は精神が崩壊され良くわからない同じ言葉を何度も何度も繰り返して話していたと…その言葉が「もう戻れ無い…ちがう世界へ…その世界は現実では無い…善はないと?」 「飛鳥」はこの話を聴き本当なのかと?この話は「飛鳥」もツーリング仲間から噂として聴いていた事もあり全く信じて居なかったが… 噂が現実であればひょっとすると「非現実」世界を知ることができると…そして今週土曜日西伊豆の廃墟となったFホテルに「みなみ」「飛鳥」俺…3人で向かう事になった。
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