廃墟となったFホテルへ

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廃墟となったFホテルへ

西伊豆の廃墟となったFホテルへの移動は「飛鳥」がワンボックスをレンタルし集合はam7:00横浜駅東口とした。観光気分で俺と「みなみ」は「飛鳥」が運転するワンボックスに乗り込んだ…「飛鳥」先輩…こんな早い時間すいません。あ〜俺の就寝は午前2:00だから堪えるぜ?「みなみ」も大丈夫か?「大和」は健全だから夜10時には寝てしっかり8時間以上寝てるんだろ?え、違いますよ…ヤンキー風「飛鳥」は俺が思ってたイメージとは違い俺に言葉を掛けてくれて気配りを忘れない優しい人であった。 廃墟である西伊豆のFホテルに向かうには東名横浜町田IC→沼津IC→国道1号(三島方面)→下田街道→下田で進み約3〜4時間で到着する予定となっていた。運転する「飛鳥」の助手席に「みなみ」が座り俺は後ろの席に座った。そして下田に向かうワンボックスの中でリーダーである「みなみ」の進行で自己紹介が行われた。まず「大和」から…え、俺からですか?そうよお願い…「みなみ」は俺の顔を見てウインクし俺に自己紹介を促した。俺は「みなみ」から受けたウインクで少し赤面していた。どうしたの「大和」?いや何でも無いです…それでは俺の自己紹介を名前は「和田大和」と申します、経済学部の2年です…趣味は無趣味で特に何もありません…そしてこのサークルに入ったきっかけは1つ上の先輩が同じ高校で勧誘されて入りました…今回の「非現実」をテーマとした「探索」について「みなみ」さん「飛鳥」さんと同じチームとなり廃墟探索にドキドキワクワクしています。そんなところですが「みなみ」さん宜しいですか?それでは質問です。「大和」は彼女居るのですか?え…俺?い、いませんよ…そうなんだ?そんな質問をした「みなみ」であったがそれから特に何も質問もなく俺の自己紹介が終了した。俺はこの時「みなみ」に彼氏が居るのか?聞こうと思ったがチャンスを逃し…はい次に「飛鳥」先輩宜しくお願いします。はいよ、工学部3年の「矢島飛鳥」です趣味はバイクと食べ歩き…バイク仲間とつるんで走り道の駅とかで地物を食べることかな?後、俺は不可思議な事が好きで視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感以外の感知能力第六感を研ぎ澄ましたいと常に思っている。その第六感は霊感なども含まれ俺はそんな事を知りたい事からこのサークル「探索」に参加しているんだ…勉学は工学を専攻し科学的に物事を判断するが人間にはそれ以外のもの心理とか精神的…スピリチュアルいろいろな神秘的なものが潜んでいる…俺はそれを吸収したいと常に考えている…だから今回のテーマである「非現実」についてワクワクしていて廃墟探索を提案したんだ…以上、俺は「飛鳥」の自己紹介を聴き今迄の自分は何だったのかと? 「飛鳥」は人生の目標、目的を自然と創り出し毎日生きている…それは自分が好きなことをとことん行う事であると俺は感じた。「飛鳥」の自己紹介を聴き俺の生き方を考え直すきっかけになったと感じた。「飛鳥」先輩自己紹介ありがとうございます。そうですか第六感ですか「みなみ」もそんな事が大好きなんですよ…特に異世界と霊の関係とか…あ、もう「みなみ」の自己紹介が始まっていましたね?心理学部2年「近藤みなみ」です「みなみ」は勉学でも学んでいる心理学がとても好きで特に人間の俗欲などあと他界した魂とかで…違う次元は存在するのかとか?そんなことからこのサークル「探索」に参加し「飛鳥」先輩と同じこのテーマ「非現実」…私の場合は「非現実」世界の追求なのです…そこでキーワードが廃墟となり今回に至ったと…自己紹介はこんな感じで終わります。皆さん宜しくお願い致します。「みなみ」の自己紹介が終わり移動中のワンボックスは東名沼津ICから国道1号三島方面に進んでいた俺はワンボックスの窓をかけ外の空気を取り入れた…季節は初夏(5月半ば)であり風が心地よかった。「飛鳥」先輩後どのぐらいで着きますかね?そうだなぁ?渋滞がなければ1時間半ぐらいかな?まだ時間かかりますね?まあ、昼前に着くと思うよ…昼は海鮮料理にするか?やったー「飛鳥」先輩海鮮料理の美味しい店知ってるんですか?あ〜あ知ってるよ。わー楽しみ「みなみ」は運転する「飛鳥」の顔を見て微笑みそして後ろに振り返り「大和」海鮮料理好き?好きだよ…俺は突然「みなみ」に話しかけられたのでドキドキしながら返事を返した。「大和」海鮮料理で特に何が好きなの?お、俺は海老かな?そーう…じゃあせっかくだから奮発して伊勢海老なんか良いんじゃあない?そうそう伊勢海老の味噌汁は最高だぞ!「大和」食べてみな美味いぞ!「飛鳥」が伊勢海老に反応し味噌汁を提案してくれた…はい、良いですね!俺は曖昧に言葉を返した…そんな話しが続き3人の親睦は深まっていった。そして目的地である西伊豆下田に到着した「飛鳥」は事前に廃墟となったFホテルの住所を検索していてワンボックスは目的地に進んでいた。「みなみ」「大和」悪いが外の風景を注意して観ていてくれFホテルらしきホテルが見つかれば教えて欲しい?出来ればネットでFホテルの噂情報を開いてホテル外観を見ながら探して欲しい。分かったわ「飛鳥」先輩了解です俺と「みなみ」は携帯画面に写されている廃墟となったFホテルと外の風景を見比べていた…しかし廃墟となったFホテルがあった住所に辿り着いてもその建物は発見されない?何処なんだ!「飛鳥」は焦りはじめた…その時「飛鳥」先輩、車を停めてくだい!俺が「飛鳥」に指示した。「大和」特に建物は無く草木が鬱蒼としているぜ?いや「飛鳥」先輩良く目を凝らして見て下さい…あ、あるね建物「みなみ」が何かに気付いた…すると「飛鳥」もあ、そうかあれが窓か…俺が見逃さなかったのは鬱蒼として草木隙間から窓の様なガラスが太陽の光を受け僅かに光ったからだった。廃墟となったFホテルであろう場所から約100メートルぐらい離れた場所にたまたまコインパーキングがあり「飛鳥」がワンボックスを移動させ駐車させる事になり、俺と「みなみ」は草木の隙間から僅かに現れた窓?廃墟となったFホテル?の確認作業をしていた…待たせたなぁ?「飛鳥」先輩「大和」と確認しました… ネットに写っている写真はかなり前のものでその後草木が生い茂り蔦がホテルの壁に絡まり道路から見えないようになったのだと思われます…ありがとう「みなみ」まずこのホテルの入り口を探そう…俺達は草木をかき分けホテルの壁に絡まった蔦を手掛かりに先に進むと…扉であろう?取手の様なノブが現れた。多分これは扉のノブだ…しかし蔦が絡まりノブを回し引く事が出来ない…すると「飛鳥」がこれで何とかならないかなあ?と呟いた。それは折り畳み式の小さなナイフであった。そのナイフはワンボックスのキーホルダーに付いていたアクセサリーであった。「飛鳥」先輩やってみましょうよ…うん、すると予想に反してその小さなナイフは切れ味が鋭く時間はかかったがノブの周りの蔦を切る事が出来たのであった。そして「飛鳥」がノブを回し扉を引き俺達は廃墟の中に入った…ここはFホテルであろうか? その部屋は湿気があり蒸し暑く草木の間からの木漏れ日だけが唯一の光であった。今何時だ?「飛鳥」が呟くと「飛鳥」先輩今pm3:05です…夕方になるとこの部屋はきっと光を失い真っ暗になる…調査は2時間ぐらいが限界だなぁ?昼飯も食べて無いし?その廃墟となったホテルの中は天井が高く照明器具であろうか?シャンデリアの様な物がぶるさがり…綿が飛び出したソファや椅子が無造作に置かれ、右側にはカウンターの様な受付が存在していた。ねえ、ちょっと見て…受付カウンターの上「みなみ」が指差す方向を俺と「飛鳥」は凝視した…あ、「みなみ」が指差した先にはプレート版が存在し「リゾートホテルF」の文字が記載されていた。ここが廃墟となったFホテルで間違いない様だ…「飛鳥」が断言すると噂で聴いた「非現実」世界との繋がりは果たして何処にあるのかホテルの室内を調査する事になった…すると突然「バサッ…バサッ…」と音がして俺は思わず「オット」叫んだ…あ、あ、これね噂で言う霊の反応私達を拒否するため?または出迎えてくれてるため?まあそれはどうでもいいか?「みなみ」は何の恐れもなくこの現象を予測していたかの様に言葉を吐いた。上に行くぞ「飛鳥」も特に変わった様子もなく少し螺旋になった階段を歩き出したすると次に「ウッわ…キ…キ…うっわ…」と動物の様な?人の鳴き声が聞こえ俺はまたまた恐れを感じ前後左右を確認していたが…「大和」大丈夫?これも多分噂で聞いた霊のうめき声だと?「飛鳥」先輩物音、うめき声までは噂は本当だったのだと…そうだなぁしかしこれだけでは「非現実」世界への関連は?そしていろいろな部屋を回り携帯で写真を撮りオーブのような光や人影の様な物が写し出されていた。そろそろ引きあげるか?写真の分析は後で行おう…俺は期待以上に緊張と恐怖を味わったが「飛鳥」と「みなみ」は期待外れの様な発言をしていた時間はpm5:20を過ぎようとしていた俺達は廃墟となったFホテルを後にした。そして遅い昼食は夕食となりドライブインに立ち寄り海鮮料理を食べる事になった、俺達はとにかく腹が減りマグロ、海老など10種類以上のネタがのった海鮮丼をかっ込んでいた。やっと少し満たされたなぁ?「飛鳥」が呟くと海鮮丼のご飯を少し残した状態で携帯写真を見ていた「みなみ」が…これを見て下さい以外とはっきり霊が写ってますよ?お〜本当だ「飛鳥」が「みなみ」の携帯写真を見て同意すると何故か「飛鳥」の顔色が変わりその後の言葉が無かった。俺が「みなみ」の携帯写真を見て…おや?と感じた、それは霊ではあったがその霊の頭部に角の様な物が突き出ていだからだ…しかし、「飛鳥」も「みなみ」もその事について語ることは無かったのであった。 そして俺と「みなみ」はワンボックスで「飛鳥」に横浜まで送ってもらい家に帰ったのであった。
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