宇宙へ旅立った

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宇宙へ旅立った

 H2ロケットが宇宙への打ち上げを成功させた。    これでまた一つ日本の衛星が増え、今回は月での活躍も期待されるという。  やはり、このままでは人間は地球に住めなくなるのだろうか。  それとも、すでに月には誰かが住んでいるのだろうか。  地球から離れるすべのない私には何もわからないが。。。。 ******** 「なぁ、どこ見てる?」 「あぁ、地球。」 「綺麗だな。」 「うん。青いな。本当に今は誰も住めないのかな。」  100年前に月に移住した人たちの子供は地球を月から見るしかできない。  地球は廃墟と化して、もう誰も住めないと聞いているからだ。    月が地球の方を向いた時に月のコロニーから地球が見える場所にはいくつものソファが置かれ、いつでも、だれでも、地球を眺めることができる。  月のコロニーは建物の中だけで構成され、植物が人口の明かりで育ち、肉は大豆ミートが主流だ。食用のミミズの研究もされてはいるが、どうも人気が出なかった。  ミミズを食べるくらいなら大豆ミートで良いと大方の人は結論付けたらしい。コロニーの中でも重力は軽めになっていて、ここで生まれた者たちは元々、地球の6分の1の重力で生活している。生まれつきなので、骨は地球に住んでいた人達よりももろい。カルシウムとビタミンDの摂取。人口太陽を浴びることが日常的に義務付けられていた。  月への移住をさせ、その様子を研究する。  まだ地球には沢山の人間が住んでいる。  月へ移住した人たちは地球滅亡の噂を信じて、移住を希望した人たちだった。地球の人が各国のコロニーに住んでいるものと信じている。  月のコロニーはまだ大きなものが一つ建っているだけだ。  月の住人たちの状態や、地球の状態を見ながら、移住するのかしないのか、どのタイミングで動いていくのかを日々観察している。 『そうだ!月に行こう。』  そんな政府からの呼びかけがあったら、一度考えてからのお申し込みをお勧めする。そんなにうまい話はないのだから。何かの政略があることは考えた方が良いだろう。  この青い地球を手放す前に、まだできる事があるだろうから。 【了】
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