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「そうしてたら、お前って結構美人じゃん? 安心しろよ。そんな風に気ぃ引かなくたって付き合ってやるからさ」
この男は一体何を言っているのだろうか?
どうしていつも亜由美の言葉を分かってくれないんだろう?
(私、ちゃんと日本語を話しているわよね?)
「あの、本当に止めて下さい」
「駅前のタワーでフレンチを奢ってやる。いいからついてこい」
そう言うと一条は亜由美の手を掴む。
一条に強引にそんな風に言われたら、ふらふらとついて行く女子は多いのだろう。
けれど、亜由美は到底そんな気持ちになれない。
なぜ分かってくれないのだろうか。
「いいから来いよ」
手を掴まれて怖くて、亜由美は全身の毛がそそけ立つ。
「やだっ!」
「何してるんだ!」
その声は聞き覚えのあるものだった。
そして、亜由美を取り返してくれた力強い腕。その腕の主を亜由美は知っている。
腕の中で顔を上げると精悍な顔が獰猛さを含んで一条をにらんでいた。
──また、助けてくれた。
「鷹條さん」
「全く、君は何でそう俺の前でトラブルを起こす?」
「そ、そういう訳では……」
むしろ、なぜこんなところに鷹條がいるのか知りたい。
「お前、なんなんだ? 杉原と俺は知り合いなんだ。関係ないだろう?」
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