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出会ってから10年後。
アレクサンダーと一緒に、子どもたちを連れて劇場でオペラを観覧しました。
私達は4人の子宝に恵まれまして、長男ロベルトはもう8歳になります。
毛皮のお面をかぶった役者さんを指して「あのオオカミのモデルは父上なんですよー」って言っても信じてくれませんでした。
アレクサンダー、だいぶ性格が丸くなりましたからね。
末娘のアリーシャがおねむで倒れちゃいそうなのを、アレクサンダーが抱き上げます。
「あれ、リリアの方を美化し過ぎじゃないか。本物は板みたいなのに」
「その板にプロポーズしたのはどこのどなたでしたっけ」
「そのプロポーズを受けたのはどこのどいつだったかな」
前言撤回、丸くなってません。
見た目はオオカミだった頃の面影はないけど、こんなふうにときどき、ひょっこり口の悪いオオカミさんだった頃の性格が顔を出します。
帰ったら一発おみまいしましょう。
私とアレクサンダーの一風変わったなれ初めは、後に作曲の手でまとめられ、人々から愛される歌曲となったのです。
演目名は「怪物の花嫁」
庶民の女の子が、呪われた令息と結婚してから恋に落ちる、そんな歌です。
END
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