9 6月24日・呪いの制限

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 泣きそうな声で訴えてくる香山に、龍樹は分かったと答える。そう答えるしかない。 「よかったー。とにかく早く来てください。お願いします!」  電話の向こうで、香山がほっと息をついたのが聞こえた。 「俺が行くまでに、高田を落ち着かせろ」 「頑張ってみます」  とはいうものの、香山のことだ。期待はできそうにもない。 「日野の写真はどうした? まだ持っているのか?」  写真は消したと言ったのは、嘘だったのか。 「分からないです……」  思わず舌打ちがもれた。 「だったら、これ以上被害を広げないよう、日野からスマホを取りあげろ」 「や、やってみます」  電話を切った龍樹は、沈痛な面持ちで眉間にしわを寄せる。  もしかしたら呪いから解放されるかもしれない、と思っていたところだったのにこれだ。  関わりたくないが、行かないわけにはいかない。 「龍樹?」  狭霧が不安そうな顔でこちらを見る。  話の内容から察しがついたらしく、顔を青ざめさせていた。 「面倒なことが起きた。今から部室に行く」 「まさか……」 「ああ、そのまさかと思いたいが……とにかく、行ってみないことには詳しい状況は分からない。が、どうやら日野が高田にあの写真を送ったらしい」 「日野さん、写真は消したって電話で言ってたよね。完全に消えたと」
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