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イタリア旅行出発の日。
失恋でグズグズ泣いてばかりの毎日だったけど
出発日のあたりになると
初めての海外旅行とあって
ノー天気な私はかなりワクワクしていた。
「行ってきま〜す」
キャリーバッグを引きながら
玄関のドアを開け
ふと振り返った時に
見送りに立っていた母の後ろに
父の姿があった。
普段は見送りに出てきたことなんてないのに。
ほんの一瞬、父は私を見て
そしてうつむいて
顔を2度と上げなかった。
私を見た父の寂しそうな瞳は
駅に向かって歩いていても
電車に乗っていても
空港ロビーで搭乗を待っている間も
いつまでも私の心から消えなかった。
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