ひらり、とびこえて

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「あ、あのさ、 1人じゃなくて、友達と一緒とかは? 同じ部活の森くんとか クラスで仲良い横山くんとか」 うわ〜、声がうわずった! 動揺がバレる〜 「1人じゃだめなの?」 ダメに決まってる! 何か危険な目に遭ったらどうすんだ!? 「そういうわけじゃないけど」 そういうわけだよ! 「ほら、湊に何かあった時に連絡取れないし」 「大丈夫だよ、携帯持ってるし。 いつもフル充電にしとくから」 軽く笑い飛ばされた…。 そういう問題じゃなくて! いや、充電はしっかりして欲しいけど。 東京から九州ってどのくらい離れてると思ってる? 1人で歩いていて 突然、車が突っ込んで来たらどうするの? 電車で隣の席に 快楽殺人者が座ったらどうするの? 「で、でもさ、 湊は1人で泊まるの怖くないの? 真っ暗にして一人で寝るんだよ」 なにを隠そう湊は 14才にしてまだ暗いとこが怖い。 「電気つけたまま寝ればいいじゃん」 エコじゃない! 「田舎っておっきな虫、いっぱいいるんだよ?」 湊は虫が大の苦手だ。 部屋に蚊が1匹飛んでるだけで大騒ぎをする。 「虫除けスプレー塗るよ、常識じゃん」 …虫除けスプレー、隠そっかな… 「1人でご飯食べるんだよ? 寂しくないの?」 「大丈夫。それにやってみないとわからない」 「…」 ネタ切れだ… そうだよ、みんなやってみなきゃわからない。 それを言われたら何も言い返せない。 クッソ〜 突然の言われたから止める理由が出てこない。 今日言うなら言うと先に言ってくれ〜! 行ってはならないと説得する理由を考えといたのに〜。
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