ひらり、とびこえて

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私の気持ちがウロウロしている間に 湊は着々と旅行のスケジュールを立て 宿泊先をネットで調べ とっとと予約してしまった。 旅行の計画を立てている時の湊の顔は キラキラ生き生きしている。 いつの間に そんな大人っぽい顔するようになったの?… そんな顔されたら とても反対できないじゃない… そして 誰からも反対されることなく (私は最後まで止めることができなかった) 夏休みが始まってすぐに 湊は初めての1人旅に旅立って行った。 だいたいの順路と宿泊先を 私と旦那のスマホにラインで送って。 私は笑顔で見送った後 ガックリ座り込んで しばらく立ち上がれなかった。 寂し過ぎて涙も出ない。 今頃、湊は、 重たいリュックを苦もなく背負って 確かな足取りで駅に向かっているだろう。 未来しか見ていない真っ直ぐな瞳で。 ああ… 子供って、こうやって ひらり 軽やかに親を飛び越えて行くんだな…。
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