1節

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その時、ガチャっと部屋の戸が開かれる。 「………ちょっとカイン。朝っぱらから騒がしいよ?」 そこにはブロンドの髪を肩まで伸ばす女性が立っていた。 「……姉さん。起きてたんだ。」 「起きたくて目が覚めた訳じゃ無いけどね。………どっかの誰かさんが大声あげるから。」 女性は呆れ顔でカインを見つめている。 その目に、一瞬光るイヤリングが映った。 「………それ、大事な物なんだっけ。」 コツコツと歩み寄る姉。 カインは手にしたイヤリングに再び目線を落とし、あの日の事を思い出す。 「………あぁ。あの時の女の子との約束の証だからな。でも、男の俺がこんなに小さいアクセに執着するのも………情けない話だな。」  
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