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「響⋯⋯」
少年は玄関の扉が閉まり切るのも待たずに、背後から恋人を抱きしめた。
17歳でありながら、かれは少年と呼ぶにはあまりに立派な体格だった。対照的に、一歳しか違わないはずの恋人は年齢よりも遥かに幼く見えた。
少年は小さな顎を引き、華奢な身体に覆いかぶさるようにして唇を重ねた。
「んっ⋯⋯蒼井先輩、待って、部屋行ってから」
「いいじゃん、今日、だれもいないんだろ?」
ふたりはブラウンのジャケットとチェック柄のパンツ、赤いネクタイという揃いの制服姿だった。肩から提げている大きなスポーツバッグも同じメーカーだ。
それを足元に落とすと、かれらは互いの背中へ手を回して、ぎゅうと抱き合った。
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