シンクロニシティ

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大きなテーブルと小さなテーブルがあって、その周りに置かれた一人用のソファに7人それぞれ寝かされていた。窓はなく、壁には電源が入っていない大きな薄型ディスプレイが掛けられていた。 「今何時?」 最後に目を覚ました瀬戸が尋ねた。 「てゆうより、ここどこ?でしょまず」 牧田の言うことももっともだが現時点でここにいる人間が分かるのは時間ぐらいだ。どこなのかは聞いても無駄。腕時計を見てサネ子姐さんが瀬戸に答える。 「アナログ時計の悪い所ね、何日の、昼なのか夜なのかわからないわ。でも3時半よ」 「少なくとも日付は変わってますよね、イベント始まったのが午後3時だったんだから」 「スマホは?」 「でもカバンが…あっ、あそこにある!」 ご丁寧に所持品も残らず運んできてくれていて、部屋の入り口ドアの横にまとめて置かれていた。 瀬戸たちが取りに行くまでもなく、スーツの内ポケットにスマホを持っていたサラリーマン風の中年男性が教えてくれた。 「22日の午後3時33分ですよ」 「えっ」 「丸一日経っていますね。ちなみに圏外です」 「地下かな、ここもしかして」 ぱちん 唐突にテレビがついた。 画面には、ワイドショー。 「今日の最高気温は35度になるということです。みなさん熱中症などには充分お気を付けくださぁい」
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