シンクロニシティ

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「とりあえず無事だから安心してっていうのと、…いつ帰らせてもらえます?」 モニターの映像が切り替わった。 映ったのは、牧田の行方不明を伝えるニュース。 同級生へのインタビューまである。 『けっこーマジメな感じの子だったんでぇ、終業式に来なかったときおかしいなって思ってたんだけど…』 「やだ!!恥ずかしい!!これじゃ帰れない!!!あたし帰らない!!!!」 「ねえ、牧田ちゃんだけ?ニュースになってるの」 「あ、あれ?そうだ。やっぱり学校に休むって電話しなかったせい?」 「あーあたし一人暮らしだから。あたしがいなくなったこと誰も気付いてないんじゃないかな」 「一人暮らし?知らなかったー!」 「父親の海外勤務に母親がついてっててね。友達にも、夏休みに入ったらすぐ両親のところに行くって言ってあるからあたしいま日本にいないと思われてると思う」 自分が消えたことを、誰も知らない状態 そのとき私はどこに存在しているのだろう? 「でも、家に一晩帰らなかったぐらいで、テレビのニュースになるなんてちょっとおかしくない?」 サネ子が首をひねる。 「牧田さんの家って厳格そうなイメージだから、門限とかあってすぐに捜索願出したとか?」 「でもあたし三回家出したことあるけど今まで捜索願なんか出されなかったよ」 「えー意外!」 『小さな事件を大々的に取り上げることと、大きな事件を全く取り上げないことは、同じと言ってもいい。情報は、操作される。しかし効果の方向と勢力は、操作する側で制御しきれないのが現状です。この度皆さんに協力頂いて行っているのは、制御の確実性向上に関するデータ収集のための実験となっております』 「マキタさんの行方不明のニュースはあんたらが流させたっていうこと?」 『まあ、その筋にコネがないわけじゃありませんし。連れ去られたと推察されるような細工こそ施しましたが、それはやむを得ないことです、さすがに彼らも全くのガセネタを放送するほどゴミではないので』 『これからの時代に有効で確実な兵器と成り得る研究なんですよ。フフフフフ』
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