ファーストキス

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ファーストキス

◆ ふいに周囲が静かになり、掛け時計の秒針の音だけが聞こえてきた。薄目を開けると、ベッドに突っ伏して黒木が眠っていた。視線は感じていたが、すぐに眠ってしまったみたいだ。 かわいいなぁ 「首痛くなりますよ」 首を(ひね)って眠る彼の上体をそっとベッドから剥がし、お姫様抱っこで自分のベッドに横たえたが、ぴくりとも動かない。 強めの眠剤が良く効いてる 嘘をついた訳ではないが、既に昨日には(ほとん)ど体調は回復していたので、結果的にはそうなった。自宅のベッドに黒木が横たわっているという状況に、有頂天になりそうだが、落ち着こうと思った。 優しくしてあげたいし 「黒木さん」 「・・・」 すぅと健やかな寝息が返ってくる。 気持ち良くさせてあげる位ならいいよね 洗い立てであろう髪を撫でると、シャンプーのウッディ系の爽やかな香りが漂い唾を飲み込んだ。大きめの耳に鼻を寄せ、耳たぶをごく弱く甘噛みするが、まだ反応は無い。すっきりとした襟足にキスを軽くしていると、大胆な気分になってきた。 好きです Tシャツをめくりあげると、控えめで小さな乳首がみえた。日焼け止めをつけているのだろうが、あまり日には焼けておらず、蒼白い程でも無くちょうどいい肌色だ。乳首に唇を滑らせると、少し赤みが増す。 「う一一ん」 身じろぎした彼が起きるかと思ったが、その後はまた静かに眠ってしまった。探偵の調査では、高校のあの事件の(ゆえ)あってか黒木には相手がいた事が無いそうだ。未だ経験が無いのだから、こういった行為にも体の免疫が無い筈だ。 「黒木さん…」 薄い唇に引き寄せられ、深いキスをしたくなった。舌と舌をゆっくりと絡ませると先程の茶の風味がした。歯の裏を歯列に沿って舐め、少し吸い口を離す。しばしそうしていると、唇が動いた。 「ぅ一一ふ、、う…」 一瞬起きたのかと思ったが、横向きに寝返りをうっただけで、また眠ってしまう。ファーストキスの相手に成れたという喜びの中、横向きになったハーフパンツに包まれた脚の造形に見とれる。鍛えられた細長い筋肉を持った脚だ。薄くついた背中の筋肉も美しく、指で辿(たど)る。 全部舐めたいけど、起きてしまうと困るし (しばら)く添い寝していると、更に眠りが深くなった様にみえたので、向きを上向きに変えて見下ろした。Tシャツがめくれたままの黒木の体は、扇情的で我慢しきれなくなりそうだ。 ハーフパンツはウエストがゴムだったので、下に難なくずらせた。下着もトランクスだったので、楽に下にずらす。 本当に眠いんだなぁ ふにゃふにゃの黒木のものを指で触ると、徐々に()ってきた。口を近づけて含むと、黒木の体がビクンと反応する。 「ぁう・・」 流石に起きたかと身構えたが、特に起きる(きざ)しはなく、単に体の条件反射だった様だ。 これが黒木さんの 想像より大きめだったので、微笑む。(なお)も舌を滑らせ、口内でなぶると分かりやすく反応してきた。寝ている状態で達するのか不明ではあったが、離れがたくそのまま唇と舌を動かす。 「一一っ!う一一ぅン、、ふぅ、、はぁ……」 喘ぎにしては弱々しく口を半開きにすると、射精した。残さず飲み干そうと吸い取ると、また彼の体がビクビクと震えた。 「美味しい、黒木さんの」 興奮さめやらない中だったが、体を綺麗に拭いて服を 元通りに戻す。彼の唇の(よだれ)も拭いてやり、額にキスをした。 「ン・・はは」 夢の中で笑う彼が愛おしくなり、もう一度額にキスをしてから、額や首筋をもう一度拭く。お互いを最初の位置に戻してみるが、やはり寝づらそうに見えた。 「そうだな…」 少し考えてから、フローリングに来客用のマットレスを置いて黒木を横たえてから、眠る体制になった。
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