第二十四話 異界へ

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 ――カアカア  四人が振り返ると、(からす)がこちらを見て鳴いていた。 「あれって、リッちゃんの使い魔じゃない?」  陽向が奇妙な名前を口にする。  烏は飛び立つと、祐介の伸ばした腕に止まった。 (この烏……どこから入って来たんだろう)  ここは地下。  窓もない場所からどうやって入って来たのか。  沙希は頭にハテナマークを浮かべていると、ある一点に目が留まる。 「あれ? この烏の背中に巻物を背負っている」  烏の背中には、古風な巻物を背負っていた。  祐介は烏の背中から巻物を取り外すと、烏は用が済んだかのように飛び立ち、壁に現れた空洞を通って消えた。 「消えた……」  先ほど現れた空洞から通って来たのだと納得する沙希。 「…………」  烏が飛んで行くのを見届けると、祐介は広げた巻物の内容を黙々と目を通す。 「相変わらずリッちゃんはアナログだね~」 「……陽向、すぐに異界に行くぞ」  祐介は巻物から顔を上げると、陽向に視線を向ける。 「え、何で急に?」 「(りん)から早急に異界に来るようにと、書かれている」 「リッちゃんに何かあったの?」 「いや。とにかく急ぎの報告があるそうだ」  そんな祐介と陽向のやり取りを見て、沙希はどうしたのか声を掛ける。 「あ、あの……何かあったんですか……?」  沙希は話が全く見えないでいると、陽向が沙希に視線を向け、「そうだ!」と何か(ひらめ)いたように手をポンと鳴らす。
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