第二十四話 異界へ

4/8
前へ
/191ページ
次へ
「ユウ、お嬢たちも異界に連れて行こうよ」 「しかし……」 「お客様を留守番させる気? いい機会じゃん。お嬢も陰陽師として、異界を見ておいた方がいいよ」  唐突な提案に沙希は目を見開く。 「え? 異界って……妖怪がいる世界ですか?」 「ああ」  祐介は頷く。 「やめとけ。妖怪にビビリまくっているこいつに、異界に行くって言うわけ……」 「行きます」  異界に行くのを反対する風夜の声を沙希は(さえぎ)る。 「おい、本気かよ」 「本気だよ。少し好奇心っていうのもあるけど……私も陰陽師として、異界を見ておきたいです」  行くと断言する沙希に、陽向は祐介に視線を向ける。 「ユウ。お嬢もこう言ってるんだから、いいよね?」 「西山さんがそう言うなら……いいだろう」 「よし! じゃあ決まりだね!」  テンションが上がった陽向は、沙希と風夜にウインクする。 「あ、どうやって異界に行くんですか」 「身近にある平面を使って、この刻印で異界への扉を開けるんだ」  祐介は手首に刻まれている陰陽師の刻印を見せる。  きっとそれが異界への鍵と言うことなのだろう。  その刻印を近い距離にあった道場の壁と向い合せる。  刻印が青白く光ると、直線の光が壁に右へ左へと光の線を引いて、星の形に描き始めた。  全ての線が結びつくと、真黄(まき)(いろ)(すす)けた古い(ふすま)が現れた。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加