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「南雲さん。さっきの烏って、異界から来たんですか?」
「ああ。異界に行き来できるのは、妖怪、聖獣、陰陽師の俺たちだけだ」
「そうなんですか。……さっき言っていた凛さんも妖怪?」
陽向に問い掛ける沙希。
「そうだよ、リッちゃんは烏天狗っていう妖怪だよ」
「烏天狗って、昔話に出て来る牛若丸に剣術を教えたっていうあの妖怪?」
「そうだよ。お嬢、よく知っているね」
陽向は感心する。
「有名だからね」
「リッちゃんは異界を統べる警務部隊に所属していて、下界に出没した鬼神をおれたちに教えてくれるんだ。お嬢も顔を合わせた方がいいな。何かのために情報を貰えるかもしれないし」
「うん、そうする」
沙希と陽向が雑談していると、不意に祐介が足を止めた。
「着いたぞ」
トンネルを抜けると、アーチ型の赤い橋に辿り着いた。
上を見上げると、下界と同じ青空が広がっていた。
「ここが、異界……」
沙希は不気味で怖いところを想像していたが、思ったよりも明るく、下界と似ている感じだ。
「ユウ、リッちゃんとはどこで待ち合わせしてるの?」
「いつも行っている茶屋だ」
祐介と陽向は先導に橋を渡り、沙希と風夜は後ろをついて行く。
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