第二十四話 異界へ

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「南雲さん。さっきの烏って、異界から来たんですか?」 「ああ。異界に行き来できるのは、妖怪、聖獣、陰陽師の俺たちだけだ」 「そうなんですか。……さっき言っていた凛さんも妖怪?」  陽向に問い掛ける沙希。 「そうだよ、リッちゃんは烏天狗(からすてんぐ)っていう妖怪だよ」 「烏天狗って、昔話に出て来る牛若丸に剣術を教えたっていうあの妖怪?」 「そうだよ。お嬢、よく知っているね」  陽向は感心する。 「有名だからね」 「リッちゃんは異界を統べる警務部隊に所属していて、下界に出没した鬼神をおれたちに教えてくれるんだ。お嬢も顔を合わせた方がいいな。何かのために情報を貰えるかもしれないし」 「うん、そうする」  沙希と陽向が雑談していると、不意に祐介が足を止めた。 「着いたぞ」  トンネルを抜けると、アーチ型の赤い橋に辿り着いた。  上を見上げると、下界と同じ青空が広がっていた。 「ここが、異界……」  沙希は不気味で怖いところを想像していたが、思ったよりも明るく、下界と似ている感じだ。 「ユウ、リッちゃんとはどこで待ち合わせしてるの?」 「いつも行っている茶屋だ」  祐介と陽向は先導に橋を渡り、沙希と風夜は後ろをついて行く。
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