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「ねぇ、風夜は凛さんのこと知っているの?」
「まぁ……知っているけど、もう何年も会ってないからな」
「じゃあ、今日は久しぶりに会うんだね。やっぱり、天狗といったら、羽の生えた鳥人みたいな感じかな?」
「会えばわかる。多分……あいつに会ったら、びっくりすると思うぜ」
視線を逸らしてそう呟く風夜に、沙希の頭にハテナマークが浮かぶ。
(びっくりするって……? 凛さんってどんな人なんだろう)
✿ ✿ ✿
橋を渡り終えると、城下町のようなところに辿り着いた。
(すごーい! 珍しいお店がたくさんあるー!)
沙希はすっかり観光客気分になって、周りにあるお店を見回す。
城下町は人通りが多く賑やかなところだった。
ここにいる者たちは皆妖怪だが、見た目が人に似ているからか沙希は全然恐怖心がなかった。
和菓子店や呉服店、ガラス細工店などの様々なお店があり、沙希を楽しませた。
「おい、沙希。うろうろするな。迷子になっても知らねぇぞ」
「大丈夫だって!」
「さっきまでのビビリはどこに行ったんだ……?」
風夜の注意を聞き流し、周囲を見回しながら歩いて行くと、沙希は右方にある店が目に留まった。
(何だろう……)
興味本位で近づいて見ると、そこは飴細工店だった。
動物や花など、様々な飴の造形物が並んでいた。
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