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「ダメだよ。私たちはこれから南雲さんの家に……」
「食べたぁーい! 食べたぁーい!」
風夜は駄々をこねる子供のように、前足をパタパタさせる。
沙希はこのまま無視してコンビニを通り過ぎようとしたが、風夜は負けずに連呼する。
「さーきー、アーイース!」
「あー、はいはい。わかった、アイスね」
結果、何度も粘る風夜に折れた沙希は、コンビニの方に歩き出す。
「よし……俺、ガ●ガ●くんがいい」
「しょうがないな……。まぁ、まだ時間あるし……じゃあ、私はスー●ーカップにしようかな」
✿ ✿ ✿
アイスを食べ終えた後、沙希は再び南雲宅に向かう。
スマホと今歩いている道を見比べながら歩いて行くと、閑静な住宅街に辿り着いた。
「ここじゃね?」
風夜の視線に顔を向けると、灰色の煉瓦でできたマンションがあった。
マンション名を確認すると、メモに書かれている名前と一致していた。
「あった」
祐介が住居しているマンションだと判明し、風夜は沙希の肩から飛び降りると人型に戻る。
そして、エレベーターに乗り、祐介が住居している階に上がって行く。
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