第二十六話 妖怪攫い

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「あたしの家族も攫われたの……」  そこへ、沙希たちの会話が耳に入ったのか、和葉がお盆に五人分のお茶を乗せて、厨房から出て来た。 「初めは、あたしの妹でね……(くれ)()って言うの。開店時間前に表の掃除しに行った日だった……。それで、いつまで経ってもお店に入って来なくて、心配になって表を見に行ったの。そしたら……」  和葉は涙声で話の続きをする。 「……表は倒れた(ほうき)しかなくて、妹はどこにもいなかったの……」  和葉は瞳に涙を浮かばせ、悔しそうに歯を噛み締める。 「その後、和葉さんは恋人の(そう)()さんと一緒に捜し回ったみたいなんですけど、途中で彼も行方不明になってしまったんです……」  凛丸は深刻な表情を浮かべ、そう説明した。 「あの時……紅葉を外に出さなければ……まだ小さいのに」 「和葉ちゃん……」  沙希は返す言葉が見つからなかった。 「大丈夫だよ」とか「きっと無事だよ」と言うのは、無責任に感じたからだ。  それから、和葉は行方不明になった二人を捜して奔走(ほんそう)しているのだ。 「これは外部の妖怪の仕業に違いありません」  凛丸はそう断言する。 「下界のはぐれ妖怪か……」  ポツリと祐介は呟く。 「あの……その犯人の特徴とか掴めていますか?」  沙希がそう聞くと、凛丸は首を横に振る。
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