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インターフォンを押してから数秒経つと、玄関からドドドドドドッとものすごい勢いでこちらに向かってくる足音が聞こえてきた。
「フウちゃん~!」
バタンッと玄関のドアから満面な笑みを浮かべた陽向が出て来た。
陽向はすぐさま風夜に抱きつくと、すりすりと甘えるように頬を摺り寄せる。
「お、おい……やめろ、陽向。ただでさえ暑いのに、余計に暑苦しくなるだろ……」
「いいじゃん。久しぶりに会えたんだし」
「先月会ったばっかだろ……」
風夜は陽向の頬に手を添えて押し返そうとするが、陽向は一層ニコニコしていて、風夜の背中に回している両腕に力を込めて放そうとしない。
「いらっしゃい。西山さん」
後からして祐介が顔を出した。
「南雲さん、こんにちは。あの、今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ。さ、中へどうぞ」
「お邪魔します」
沙希は靴を脱いで、フローリングの廊下に上がる。
「おい、陽向。いつまで遊んでいるんだ。お客様をおもてなししろ」
「はーい!」
陽向は風夜から離れると、祐介の隣に並ぶ。
「あれで、遊んでいるって、言わねぇだろ……」
陽向の行動は、『遊んでいる』でまとめられた風夜はぐったりとする。
(風夜、目が死んでる……)
陽向は沙希と風夜の前に行くと、誘導するように腕を伸ばす。
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