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「まさか……」
沙希は二ヶ月前に起きた連続通り魔事件を思い出す。
その事件の犯人は人間ではなく、鎌鼬の刹那の仕業だとわかった。
祐介が深手を負わせたまではよかったが、刹那はそのまま逃避した以来姿を現さなくなったのだ。
「あの。その人物の顔とか見ましたか?」
確証はないが、もしその黒マントの正体が刹那だったら、また動き出した可能性が高い。
「すみません……。その二人組は顔に仮面をつけていたので、素顔までは見られませんでした……」
「そうですか……。ありがとうございます」
この短時間でいい収穫ができた。
聞き込みを終え、沙希たちはこの情報を祐介たちに報告した。
✿ ✿ ✿
カラオケ店を後にした沙希と風夜は、ネオン街を歩いている。
「妖怪に情報を貰えるなんて……なんか新鮮だな」
沙希は今までにない経験に感動する。
「そう言えば気になっていたんだけど。下界に棲んでいる妖怪って、異界の住民なんだよね? どうして下界で人間みたいに暮らしているの?」
沙希はずっと疑問に思っていたことを風夜に訊く。
「大昔に人間の世界に興味を持った一部の妖怪が下界に降りたんだ。昔は緑の自然が多かったから、妖怪たちはそれぞれ自分たちの住処を作って暮らして、子孫繁栄を繰り返したんだ」
「へぇー」
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