第二十三話 訪問

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「祖父母には許可を取ってるから、西山さん、自由に使っていいよ」 「いいんですか⁉︎」 「もちろん」  祐介の申し出に、沙希は「ありがとうございます!」と頭を下げる。 「それじゃあ、早速始めようか」   ✿ ✿ ✿  祐介は神器を持った沙希と地下の中央に向かい立つ。 「陰陽師の主な仕事は、鬼神や下界に危険を及ぼす妖怪の退治だけでなく、下界に迷い込んだ妖怪を彼らの棲む異界に帰す目的もある」 「妖怪を異界に帰すんですか?」  てっきり妖怪が下界に現れた時点で滅するものだと思い込んでいた沙希。  そんな沙希を見て、祐介は話を続ける。 「ああ。妖怪は人間と同じ良心を持つ者もいる。妖怪が皆悪い奴ばかりではないんだ」 「そうなんですね......」  今まで知らなかった妖怪の知識に感心する沙希。 「次は、陰陽師の一般能力の術を見せるよ」 「はい」  祐介はお手本見せるように片手を前に掲げると、その片手から臙脂(えんじ)(いろ)の炎が渦を巻いて(まと)う。 (わぁ……)  鮮やかに燃え盛る炎を沙希は引き込まれるように見入ってしまう。  祐介は炎を纏った手で銃の形にすると、少し離れたところにある六つの木製の円的に向ける。
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