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指先を右から左に弦を描くと、六つの火の玉が現れる。
軽く指先を上げると、火の玉が勢いよく発砲され、見事に六つの円的の中心に命中する。
「すごい!」
祐介のお手本として披露した能力に沙希は思わず拍手してしまう。
お手本を終了するように、祐介の手に纏っていた炎は静かに消える。
「西山さんも訓練すれば、この術を使いこなせるようになる」
「ホントですか!」
祐介が「ああ」と言うと、沙希は嬉々しながら両手を自分の前に持っていく。
「西山さん。神器の憑依をやって見せてくれ」
「はい」
沙希は握っている神器に自分の意思で霊力を流し、性質を雷に変える。
神器を握った右手に雷が帯電する。
「西山さんの霊力の属性は雷だな」
「霊力の属性?」
「人間の持つ霊力には、火、水、土、雷の四つの属性に分かれているんだ」
「へぇー」
沙希は感嘆する。
「それじゃあ、神器の使い方について教える」
「はい!」
沙希の威勢の張った返事に、祐介は「いい意気込みだ」と称賛する。
「本題に入ろうか。まずは、俺が鬼神と戦う時の神器の使い方を見せる」
「わかりました」
祐介は片手を広げると、銀色の拳銃が握られた。
祐介の神器だ。
(あれ?)
祐介の握られているその拳銃は、以前見たものと一回り小さかった。
よく見ると、細部も違う。
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