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「うん、糸、知ってるよ。パパたちとお正月に行った時お金を入れた箱。おっきな鈴があって、それも鳴らした」
「ああ、そこだ。いいか糸、もし俺とはぐれたら、その賽銭箱のあるところで待ってるんだ。いいな?」
「うん、わかった」
「その賽銭箱のところに行ったら絶対に動くんじゃないぞ。俺が行くまで絶対に動いちゃだめだ。いいか?」
「うん、ねぇりゅうちゃん?顔恐いよ。怒ってるの?」
「ばか、これは生まれつきの顔だ。怒ってるんじゃないって」
「そっか。早く行こうよりゅうちゃん」
「ああ、糸、手離すなよ」
そして私たちは、一緒に神社の鳥居をくぐり、参道を歩き始める。
通りにはたくさんの出店があった。
イカ焼き、わたあめ、かき氷、きんぎょすくいにたこ焼き。風船釣りも…‥
「いいか、一回全部見て回ろう。小遣いは決まってるだろう?だからどれにするか決めてから買ったほうがいい」
「そっか。そうだね。全部は買えないもんね」
さすがだねりゅうちゃん。
わたしは龍ちゃんに手を引かれながら、あちこちの店をきょろきょろ見回しながら歩く。
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