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たこ焼きのソースの匂いや、綿あめの甘い匂い、かき氷を削る音。
お店の人の「いらっしゃい。美味しいよ」って掛け声があちこちから聞こえて来る。
「りゅうちゃん、わたしかき氷食べたい」
「ああ、でも、他に食べたいものも見つかるかもしれないだろう?色々見てからにしよう」
「うん、あっ、いい匂い。これイカ焼きかな?」
「糸、お前さっきから食べ物ばっかだな。他にもほら、金魚すくいやヨーヨー釣りもあるぞ」
「わたし金魚すくいしたーい。ねぇねぇりゅうちゃん早くやろうよ」
「ったく。糸、はしゃぎすぎだって…」
龍ちゃんは、俺に任せろって言わんばかりにわたしの手を引いて参道の中をどんどん進んで行く。
わたしはたくさんの人に興奮してて。
「りゅうちゃんあれ見て、すごくきれい」
わたしは、初めて見る風鈴の出店に見とれた。
目には色とりどりのガラスが、夕暮れの赤い空の色と店の電球に照らされて、色々な色に変化して、きれいな音色が響いて。
わたしはすっかりその風鈴に見入っていた。
あれ?
あれ?りゅうちゃん?
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